水戸地方裁判所下妻支部 昭和33年(ヒ)4号 決定
東陽相互銀行
申請人らが提出した株式所有証明書及び臨時株主総会開催請求書によれば、申請人らが六カ月以前より被申請会社の発行済株式総数の百分の三以上の株式を有する株主であること並びに昭和三十三年八月十三日に申請人ら主張のような総会招集の請求がなされたことを認めることができる。してみると、被申請会社は遅くとも同年九月二十四日を会日とする株主総会の招集通知をその二週間前にあたる同月九日以前に発送しなければならなかつたものというべきである。しかるに被申請人は同月十日までに右招集通知を発していない事実が認められるから、申請人らの本件株主総会招集許可の申請はその理由があるものというべきである。
被申請会社は上申書を以て「被申請会社は昭和三十三年九月二十八日を会日とする招集通知を同月十一日に発送したものである。また被申請会社の招集手続が遅延したのは、被申請会社の定款に臨時総会招集のための株主名義書換停止は三十日以前に公告することを要求されているから、六週間以内に総会の招集をすることは実務上不可能である上、申請人らは株主総会招集請求直後、被申請会社に対し和解を申入れて来て和解成立の上は右請求を取り下げるということであつたので総会の招集の手続を控えていたところ、同年八月二十七日になつて始めて右和解の見込がなくなり、総会の招集をしなければならないことが確定的になつたためである。以上のとおり、期間を遵守できなかつたことには相当の理由があり且つ既に招集の通知が発せられているのであるから、本申請は却下されるべきであると主張している。
よつて右被申請会社の主張について考えて見るのに、和解を申し入れられた為期間を遵守できなかつたとの主張は、本件のような少数株主から総会招集の請求のあつた場合に招集の手続を遅延させる正当の事由とは言い難く、また被申請会社の定款の規定が名義書換停止のための公告を三十日前になすことを要求しているから六週間内に招集することが不可能であるとの主張も昭和三十年の改正後の商法第二百二十四条の二第四項が株主名簿の閉鎖は「二週間前」の公告を以て足りるとしている以上招集日が六週間を徒過する事の正当の事由とはなし難い。さらに、被申請会社が既に総会招集の通知を発しているという点も、被申請会社の手続懈怠によつて申請人らの既に取得している裁判所の許可を得て自ら株主総会を招集する権利を喪失せしめるものとは言い難い。
以上のとおりであるから被申請会社の主張は何れもその理由がないとして、申請人等に対し、株式会社東陽相互銀行の株主総会を昭和三十三年十月二十三日までの間に招集することを許可すると決定した。